過せしめんかと心はそれのみに奔《はし》りて、苦悶の中《うち》に日を送りつつも、福田の苦心を思いやりて共に力を協《あわ》せ、僅《わず》かに職を得たりと喜べば、忽《たちま》ち郷里に帰るの事情起る等にて、彼が身心の過労|一方《ひとかた》ならず、彼やこれやの間に、可借《あたら》壮健の身を屈托せしめて、なすこともなく日を送ることの心|許《もと》なさ。
六 渡韓の計画
かくては前途のため善《よ》からじと思案して、ある日|将来《ゆくすえ》の事ども相談し、かついろいろと運動する所ありしに、機《おり》よくも朝鮮政府の法律顧問なる資格にて、かの地へ渡航するの便《びん》を得たるを以て、これ幸いと郷里にも告げず、旅費等は半《なか》ば友人より、その他は非常の手だてにて調《ととの》え、渡韓の準備全く整《ととの》いぬ。当時朝鮮政府に大改革ありて、一時日本に亡命の客《かく》たりし朴泳孝《ぼくえいこう》氏らも大政《たいせい》に参与し、威権|赫々《かくかく》たる時なりければ、日本よりも星亨《ほしとおる》、岡本柳之助《おかもとりゅうのすけ》氏ら、その聘《へい》に応じて朝廷の顧問となり、既にして更に西園寺《さいおんじ
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