を楽しむなりき。妾は愛に貴賤《きせん》の別なきを知る、智愚《ちぐ》の分別《ふんべつ》なきを知る。さればその夫にして他に愛を分ち我を恥かしむる行為あらば、我は男子が姦婦《かんぷ》に対するの処置を以てまた姦夫《かんぷ》に臨まんことを望むものなり。東洋の女子|特《こと》に独立自営の力なき婦人に取りて、この主義は余り極端なるが如くなれども、そもそも女子はその愛を一方にのみ直進せしむべき者、男子は時と場合とによりて、いわゆる都合によりてその愛を四方八方に立ち寄らしむるを得る者といわば、誰かその片手落ちなるに驚かざらんや。人道を重んずる人にして、なおこの不公平なる所置を怪しまず、衆口同音婦人を責むるの惨酷《ざんこく》なる事、古来習慣のしからしむる所といわばいえ、二十世紀の今日、この悪風習の存在を許すべき余地なきなり。さりながら、こは独《ひと》り男子の罪のみに非《あら》ず、婦人の卑屈なる依頼心、また最も与《あずか》りて悪風習の因となれるなるべし。彼らは常にその良人に見捨てられては、忽《たちま》ち路頭に迷わんとの鬼胎《おそれ》を懐《いだ》き、何でも噛《かじ》り付きて離れまじとは勉《つと》むるなり。故に
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