空《むな》しうせず、東京にて相当の活路を求めんといい出でけるに、両親の機嫌《きげん》見る見る変りて、不孝者よ、恩知らずよと叱責《しっせき》したり。已《や》むなく前言を取り消して、永く膝下《しっか》にあるべき旨《むね》を答えしものから、七年の苦学を無にして田夫野人《でんぷやじん》と共に耒鋤《らいじょ》を執《と》り、貴重の光陰《こういん》を徒費《とひ》せんこと、如何《いか》にしても口惜しく、また妾の将来とても、到底農家に来りて馴《な》れぬ養蚕|機織《はたお》りの業《わざ》を執り得べき身ならねば、一日も早く資金を造りて、各※[#二の字点、1−2−22]《おのおの》長ずる道により、世に立つこそよけれと悟《さと》りければ、再び両親に向かいて、財産は弟に譲り自分は独立の生計を求めんと決心せるよしを述べ、さて少許《しょうきょ》の資本の分与《ぶんよ》を乞いしに、思いも寄らぬ有様にて、家を思わぬ人でなしと罵《ののし》られ、忽《たちま》ち出で行けがしに遇せられければ、大いに覚悟する所あり、遂《つい》に再び流浪《るろう》の客《かく》となりて東京に来り、友人の斡旋《あっせん》によりて万朝報社《よろずちょうほう
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