くもん》を覚えしめ、淫酒《いんしゅ》に耽《ふけ》り公徳を害して、わがままの振舞いやが上に増長すると共に、細君もまた失望の余り、自暴自棄の心となりて、良人と同じく色に溺《おぼ》れ、果《はて》はその子にまで無限の苦痛を嘗《な》めしむるもの比々《ひひ》として皆しかりとかや、アアかかるものを頼めるこそ過《あやま》ちなりけれ。この上は自《みずか》ら重井との関係を断ち翻然《ほんぜん》悔悟《かいご》してこの一身をば愛児のために捧《ささ》ぐべし。妾|不肖《ふしょう》なりといえどもわが子はわが手にて養育せん、誓って一文《いちもん》たりとも彼が保護をば仰がじと発心《ほっしん》し、その旨《むね》言い送りてここに全く彼と絶ち、家計の保護をも謝して全く独立の歩調を執《と》り、さて両親にもこの事情を語りて、その承諾を求めしに、非常に激昂《げっこう》せられて、人を以て厳しく談判せんなど言い罵《ののし》られけるを、かかる不徳不義の者と知らざりしは全く妾の過ちなり、今更|如何《いか》に責《せ》めたりともその効《かい》あらんようなく、かえって恥をひけらかすに止《とど》まるべしと、かつ諌《いさ》めかつ宥《なだ》めけるに、よ
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