て憚《はばか》らざるはこれにても明《あき》らけし。さては、平常先輩の説く処、洵《まこと》にその所以《ゆえ》ありけるよ。かかる私政に服従するの義務|何処《いずく》にかあらん、この身は女子なれども、如何《いか》でこの弊制《へいせい》悪法を除かずして止《や》むべきやと、妾《しょう》は怒りに怒り、※[#「二点しんにょう+(山/而)」、第4水準2−89−92]《はや》りに※[#「二点しんにょう+(山/而)」、第4水準2−89−92]りて、一念また生徒の訓導に意なく、早く東都に出《い》でて有志の士に謀《はか》らばやとて、その機の熟するを待てる折しも、妾の家を距《さ》る三里ばかりなる親友|山田小竹女《やまだこたけじょ》の許《もと》より、明日《みょうにち》村に祭礼あり、遊びに来まさずやと、切《せつ》なる招待の状|来《きた》れり。そのまま東都に奔《はし》らんにいと序《つい》でよしと思いければ、心には血を吐くばかり憂かりしを忍びつつ、姉上をも誘《いざな》いて、祖先の墓を拝せんことを母上に勧め、親子三人引き連れて約一里ばかりの寺に詣《もう》で、暫《しばら》く黙祷《もくとう》して妾が志《こころざし》を祖先に告
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