中《そうちゅう》紅一点《こういってん》ともいいつべく、男子に交りての抜群の働きは、この事件中特筆大書すべき価値ありとて、妾をして卓子《テーブル》の上に座せしめ、其処《そこ》にて種々の饗応《きょうおう》あり。終りて各※[#二の字点、1−2−22]《おのおの》旅宿に帰りしは早や黄昏《たそがれ》の頃なりけり。
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第九 重井との関係
一 結婚を諾《だく》す
それより重井、葉石、古井の諸氏は松卯《まつう》、妾《しょう》は原平《はらへい》に宿泊し、その他の諸氏も各※[#二の字点、1−2−22]《おのおの》旅宿を定め、数日間は此処《ここ》の招待、彼処《かしこ》の宴会と日夜を分たざりしが、郷里の歓迎上都合もある事とて、それぞれ好《よ》きほどにて引き別るることとなり、妾も弥※[#二の字点、1−2−22]《いよいよ》明日岡山へ向け出立というその夜なりき、重井より、是非相談あれば松卯に来りくれよと申し来りぬ。何事かと行きて見れば、重井も葉石もあらず、詮方《せんかた》なく帰宿せんとする折しも、重井|独《ひと》り帰りて、妾の訪れしを喜び、さて入獄以来の厚情は得《え》も忘られず、今回
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