りの如きも大概は看守の寡婦《かふ》などが糊口《ここう》の勤めとなせるなりき。されば何事も自己の愛憎《あいぞう》に走りて囚徒《しゅうと》を取り扱うの道を知らず。偏《ひとえ》に定役《ていえき》の多寡《たか》を以て賞罰の目安《めやす》となせし風《ふう》なれば、囚徒は何日《いつ》まで入獄せしとて改化|遷善《せんぜん》の道に赴《おもむ》かんこと思いもよらず、悪しき者は益※[#二の字点、1−2−22]悪に陥りて、専心取締りの甘心《かんしん》を迎え、漸《ようや》く狡獪《こうかい》陰険の風を助長するのみ。故《ゆえ》に監獄の改良を計らんとせば、相当の給料を仕払いて、品性高き人物をば、女監取締りとなすに勉《つと》むべし。もしなおかかる者をして囚徒を取り締らしめんには、囚徒は常に軽蔑を以て取締りを迎え、表《おもて》に謹慎を表して陰《いん》に舌を吐かんとす、これをしも、改化遷善を勧諭する良法となすべきやは。独《ひと》り青木氏の如きは、天性慈善の心に富《とみ》たるにや、別に学識ありとも見えざりしにかかわらず、かかる悲惨の境涯を見るに忍びずして、常に早くこの職を退《しりぞ》きたしと語りたりしが妾の出獄後、果して間
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