いっせき》と呑《の》むが願いの同伴の男は七つのものを八つまでは灘《なだ》へうちこむ五斗兵衛《ごとべえ》が末胤《まついん》酔えば三郎づれが鉄砲の音ぐらいにはびくりともせぬ強者《つわもの》そのお相伴の御免|蒙《こうぶ》りたいは万々なれどどうぞ御近日とありふれたる送り詞を、契約に片務あり果たさざるを得ずと思い出したる俊雄は早や友仙《ゆうぜん》の袖《そで》や袂《たもと》が眼前《めさき》に隠顕《ちらつ》き賛否いずれとも決しかねたる真向《まっこう》からまんざら小春が憎いでもあるまいと遠慮なく発議者《ほつぎしゃ》に斬《き》り込まれそれ知られては行くも憂《う》し行かぬも憂しと肚《はら》のうちは一上一下虚々実々、発矢《はっし》の二三十も列《なら》べて闘《たたか》いたれどその間に足は記憶《おぼえ》ある二階へ登《あが》り花明らかに鳥何とやら書いた額の下へついに落ち着くこととなれば六十四条の解釈もほぼ定まり同伴《つれ》の男が隣座敷へ出ている小春を幸いなり貰《もら》ってくれとの命令《いいつけ》畏《かしこ》まると立つ女と入れかわりて今日は黒出の着服《きつけ》にひとしお器量|優《まさ》りのする小春があなたよくと末半
前へ 次へ
全22ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
斎藤 緑雨 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング