たでもあるまいものが、あわぬ詮索《せんさく》に日を消すより極楽は瞼《まぶた》の合うた一時とその能とするところは呑むなり酔うなり眠《ねぶ》るなり自堕落は馴れるに早くいつまでも血気|熾《さか》んとわれから信用を剥《は》いで除《の》けたままの皮どうなるものかと沈着《おちつ》きいたるがさて朝夕《ちょうせき》をともにするとなればおのおのの心易立てから襤褸《ぼろ》が現われ俊雄はようやく冬吉のくどいに飽いて抱えの小露が曙染《あけぼのぞ》めを出の座敷に着る雛鶯《ひなうぐいす》欲のないところを聞きたしと待ちたりしが深間《ふかま》ありとのことより離れたる旦那を前年度の穴填《あなう》めしばし袂を返させんと冬吉がその客筋へからまり天か命か家を俊雄に預けて熱海《あたみ》へ出向いたる留守を幸いの優曇華《うどんげ》、機乗ずべしとそっと小露へエジソン氏の労を煩わせば姉さんにしかられまするは初手《しょて》の口|青皇《せいこう》令を司《つかさ》どれば厭でも開く鉢《はち》の梅殺生禁断の制礼がかえって漁者の惑いを募らせ曳く網のたび重なれば阿漕浦《あこぎがうら》に真珠を獲《え》て言うなお前言うまいあなたの安全器を据《す》えつけ
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