限定し、状態や問題の解決を見透すことを達觀と稱へ、試行は直接に結果に關係のない行動をさすことにすれば、人間學習には試行もあり、洞察もあり、また達觀もあるといひ得ると思ふ。かくして試行と洞察の對立は無くなつてくる。

             五

 次に興味ある問題は類型である。類型とは吾人の活動の方向又は形式で、それの研究に靜的方法と動的方法との二方面がある。前者に於ては型の判斷と客觀的測定との間の關係を求めんとするもので、主として米國流の統計的研究者に見る方法である。例へばクレッチュマーの體型の研究に於て、身長、體重、胸圍等の測定は勿論、その他の身體的特徴に於ても出來るだけ客觀的測定を用ひ、それ等よりして客觀的標準を設定し、その標準と型とを結びつけようとする。所が現象的にそれ等の間に一對一の相關を發見しない爲めに、體型の存在を否定するものがある。かゝる態度は單に體型ばかりでなく、他の幾多の精神型の研究に於ても看取される。
 これ等の研究方法と對立して居るものは主として獨逸流の研究者の中に見るもので、前述の如き研究態度に對して批判を加へ、動的方法を主張する。即ちそれによると、比率、指
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