數、角度等の靜的測定と、型の動的決定とは相違して居る。クレッチュマーの設定した肥滿型とか痩身型とか等と、身長、體重の比とを關係づける企ては、形式と内容との區別を全く無視したものである。榮養をよくしたり、飢餓に陷らせたりして、その者の身體的外觀を變化し得るが、しかしそれは現象型の一つか二つかを研究者に示すに過ぎない。彼が若し現象的に肥滿型であれば、それが飢餓に迫ると、現象的に痩身型になるかも知れない。比率やその他の客觀的靜的測定はこれ等の現象的變化を考慮に入れない。かやうな靜的測定を動物型の判斷に使用することは誤謬で、動的型には動物測定を使用すべきであるとする。
この動的方法の主張者は又在來の人相學、骨相學、筆蹟學の方法をも批判する。即ちそれ等の學は、靜的樣式と動的特性との相關に立脚するもので、それ等は人格の形式と内容とを混同して居る。例へば書かれた文字の靜的線は、人格の動的又は變化的表現を示すものとは言へない。その一々の線は動的全體又は方向の一の徴表に過ぎない。故にその線は類型によりて規定された一の變數であり、他の幾多の變數と結合して、動的全體又は型の精密なる描寫がなされ得るのである
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