と批判する。
尚動的方法の主張者によると、今日物理學者の測定が相對的である如くに、心理學者も同樣なことをなさなければならぬとする 變化系統は無變化の尺度によりて測定することは出來ない。若しその系統の將來の行動又はその系統の方向を測定の結果から豫言したり統制したりするには、無變化の尺度や道具を用ひて測定してはならぬ。心理學に於ける解決は人間有機體である。人間有機體は變化しつゝあり、それは動的のものである。故に測定の道具は動的のものでなければならぬ。過去に於て心理學者と教育者とはテストを標準化し、觀察者の影響を出來るだけ除去せんと企てた それは彼等が彼等の測定を出來るだけ靜的不變化の尺度に歸せしめたことを意味し、又それが測定一般の理想であると考へた。その結果彼等は豫想し統制することが出來なくなつたと非難する。
六
如上の批判は古い精神檢査者に對して極めて適切なものである。動的測定を靜的測定に歸せしむる企ては、人間有機體を除去し、漸次に非人格的、客觀的テストにたよるやうになり、それ等の檢査者は豫想し、統制する能力を失ふに至るであらう。それには彼等の測定に動的
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