があることが發見されて居る。而して此等の實驗的研究を一貫せる意圖は、個人が如何に反應するかの研究で、個人が反應として何をなすかでない點である。彼等は智能、所謂人格的特質、環境を考察することなく、偶然的因子の介在には無頓着の態度を取る。その上彼等は個人間の類似の點に眼を向け、差異の點に基礎を置いて研究しないやうである。
尚少しく精密に言へば、環境、個人、文化的全體又は世紀は變數である。それ等は相互に依存關係を有するが、しかし必ずしも相互の間に一對一の關係を有するものでない。かくして環境は有機體の中にそれに相應する變化を引起すことなく、一定の制限内に變化し得る。環境が變化を引起さないとは言はないが、その變化は些少で、精密に相應する反應でない。變數の正常の範圍を越えた變化は有機體に著しい變化を生じ得る。同樣に有機體に於ける變數は一定の範圍内では、相互に獨立して變化し得るのである。(假令それ等が根本的には相互に依存しても)。智能は一個人の中に各瞬間毎に變化し得る。又欲求、情緒及びその他の成分も亦個人の全體像を變化することなくして變化し得るのである。只それ等が正常の制限を越えて變化した時にのみ
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