日埋葬、明日は帰京に付、右申上候」
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   未来の時代を孕む鉱毒問題

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田中代議士が始めて出した鉱毒問題の質問書
「大日本帝国憲法第廿七条には、日本臣民は其所有権を侵さるゝことなしとあり。又日本坑法第三項には、試掘|若《もしく》は採掘の事業、公益に害ある時は、農商務大臣は既に与へたる許可を取消すことを得とあり――然るに栃木県|下野《しもつけ》国上都賀郡足尾銅山より流出する渾《すべ》ての鉱害は、群馬栃木両県の間を通ずる渡良瀬川沿岸の各郡村に年々巨万の損害を被らしめ、田畑は勿論飲用水を害し、堤防草木に至るまで其害を蒙《かうむ》り、将来|尚《なほ》如何なる惨状を呈するに至るやも測《はか》り知るべからず。数年政府の之を緩慢に付し去る理由|如何《いかん》。既往の損害に対する救治の方法如何。将来の損害に於ける防遏《ばうあつ》の手段如何」
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この十八日、衆議院の予算本会議では、民党査定案が一瀉千里の勢で通過し、二十二日には、今期の議会第一の問題たる海軍拡張の予算案が全部否決された。かく火花を散らして闘ふ政府と民党との衝突は、こ
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