が進歩党員であるが為に、鉱毒問題が動《やゝ》もすれば党派問題と見なされる憂《うれひ》があつた。今や自分が創立以来の進歩党を脱却した以上、諸君も亦党派的感情を離れて、この鉱毒問題を見て呉れ、と言ふのだ。
も一つの雲影がこれ迄常に鉱毒問題を煩《わづら》はして居た。「鉱毒は畢竟《ひつきやう》田中の選挙手段だ」と言ふことだ。彼は進んで言うた。
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『尚ほまたこの田中正造は衆議院議員でございますからして、自分の選挙区の関係があるからやるのだと云ふやうな馬鹿な説が、この議場の中に――一人でも二人でも、左様な御方がある為にこの被害民の不幸を蒙り、また国家の不幸を蒙むると云ふ不都合がござりますれば、私はまた議員をも罷《や》めるのでございます。今日にも罷めるのでございます。さりながら今日辞表を出しますれば、明日は演壇に登ることが出来ませぬから、今一場のお話を致して、議員を罷めまする積りでございます――』
[#ここで字下げ終わり]
見よ、演説壇上のこの人を――黒紋付の木綿羽織に、色|褪《あ》せた毛繻子《けじゆす》[#「毛繻子」は底本では「手繻子」]の袴。大きな円い額には長く延びた半白の
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