かが》致したと申すのでげすナ」
「御尤《ごもつとも》です、新聞には大抵、小米と申すのが、未《ま》だ賤業《せんげふ》に陥《おちい》らぬ以前、何か兼吉と醜行でもあつた様にありますが、其れは多分小米と申すの実母《はゝ》から出た誤聞であります、兼吉と彼《か》の婦人とは幼少時代からの許嫁《いひなづけ》であつたのです、然《しか》るに成人するに及《およん》で、婦人の母と云ふが、職工|風情《ふぜい》の妻にしたのでは自分等の安楽が出来ないと云ふので、無残にも芸妓《げいしや》にして仕舞《しま》つたので――其頃兼吉は呉港《くれ》に働いて居たのですが、帰京《かへ》つて見ると其の始末です、私《わたし》も数々《しげ/\》兼吉の相談に与《あづ》かつたのです、一旦《いつたん》婦人の節操を汚がしたるものを娶《めと》るのは、即ち男子の道義をも自ら破壊することになるか如何《どうか》と云ふのです、私は彼に質問したのです、――君は彼女《かのぢよ》の節操破壊を以て自己の心より出でたるものと思つてるか如何《どうか》――所が彼の言ひまするには、私は決して左様《さう》は思ひません、全く母親の利慾に圧制されたので、柔順なる彼女は之に抵抗
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