》めて孝行で、常に友達の為めに借金を背負《しよ》はされて居た程です、何《ど》うも日本では今以て、鍛冶工《かぢこう》など云へば直《ただち》に乱暴な、放蕩三昧《はうたうざんまい》な、品格の劣等の者の如く即断致しますが、今日《こんにち》の新職工は決してソンなものでは無いですからな、――今春《このはる》他の一人の職工が機械で左腕《うで》を斬り取られた時など、会社は例の如く殆《ほとん》ど少しも構はない、已《や》むを得ず職工同志、有りもせぬ銭《ぜに》を出し合つて病院へ入れたのですが、兼吉は、此儘《このまゝ》にしては、廿世紀の工業の耻辱であると云ふので、其の腕を携《たづさ》へて、社長の宅へ面談に参つたのです、風呂敷から血に染つた片腕を出された時には、社長も顔色を失つて、逃げ掛けたサウですが、其裾《そのすそ》を捉《とら》へて悲惨なる労働者の境遇を説き、資本家制度の残忍|暴戻《ばうれい》を涙を揮《ふる》つて論じたのには、サスがの柿沢君も一言《いちごん》の答弁が無《なか》つたと云ふことです、一言に尽したならば、兼吉の如きは新式江戸ツ子とでも言ひませうか」
「しますると、兼吉と小米との交情《なか》は如何《い
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