こ》に取る程|狂気《きちがひ》にはなりませんからな、マア/\御安心の上、一日も早く砲火《ひぶた》を切つて私共《わたしども》に儲《まうけ》さして下ださい」
「しかし大洞、山木の娘も篠田と同じ耶蘇《ヤソ》だと云ふぢやないか」
「松島さん、貴下《あなた》の様に気を廻しなすつちや困まる、山木も篠田には年来の怨恨《うらみ》がありますので、到頭《たうとう》教会から逐《お》ひ出させたと、妹《いもと》の話で御《お》わしたが、女敵《めがたき》退散となつた上は、御心配には及びますまい、ハヽヽヽヽ」
「ウム、其れは先《ま》づ其れとしても、君、山木が早く取定《とりきめ》ないのは不埒《ふらち》極まる、今日《こんにち》まで彼を庇護《ひご》して遣つたことは何程《どれほど》とも知れたもンぢやない、彼《あ》の砂利の牛肉鑵詰事件の時など新聞は八釜《やかま》しい……」
 と言ひ掛くるを、大洞あわてて押し留めつ
「松島さん、そんな旧傷《ふるきず》の洗濯は御勘弁を願ひます、まんざら御迷惑の掛け放しと云ふ次第でも無《なか》つた様で御《ご》わすから」
「それから彼《あ》の靴の請負《うけおひ》の時はドウだ、糊付けの踵《かゝと》が雨に
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