《く》れ、其れ程人夫になりたくば、私《わたし》を殺して行かしやんせツて言やがるんだ、ハヽヽヽヽ、そりやサウと、オイ、昨夜《ゆうべ》烏森《からすもり》の玉翁亭《ぎよくをうてい》に車夫のことで、演説会があつたんだ、所が警部の野郎|多衆《おほぜい》巡査を連れて来やがつて、少し我達《おれたち》の利益《ため》になることを云《いふ》と、『中止ツ』て言やがるんだ、其れから後で、弁士の席へ押し掛《かけ》て、警視庁が車夫の停車場《きやくまち》に炭火を許す様に骨折て欲《ほし》いつて頼んでると、其処へ又警部が飛込んで来やがつて『解散を命ずるツ』てんよ、すると何でも早稲田《わせだ》の書生さんテことだが、目を剥《む》き出して怒つた、つかみ掛りサウな勢《いきほひ》だつたが、少し年取つた人が手を抑へて、斯様《こんな》警部など相手にしても仕方が無い、斯《か》うしなければ警察官も免職になるのだから、寧《いつ》そ気の毒ぢやないかツてんで、僅々《やう/\》収まつたが、――一体政府の奴等、吾達《おれたち》を何と思つて居やがるんだ」
「そんな大きな声して巡査にでも聞かれると悪イ、が、俺も二三日前に小山を通つてツクヅク思つた、軍
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