し》いことと一同|断念《あきら》めて居たので御座いますよ、能《よ》くまア、奥様御都合がおつきなさいましたことネ――山木家は永阪教会に取つては根でもあり、花でもありなので御座いまする上に、此の稀《まれ》な紀念会を御家の御別荘で開くことが出来、奥様の御出席をも得たと云ふ、此様《こん》な嬉しいことは覚えませぬので、心《しん》から神様に感謝致すので御座いますよ、ホヽヽヽ」
お加女夫人は例の抜き襟一番「教会へもネ、平生《しよつちゆう》参りたいツて言ふんで御座いますよ、けれども御存知《ごぞんじ》下ださいます通り家の内外《うちそと》、忙しいもンですから、思ふばかりで一寸《ちつと》も出られないので御座いますから、嬢等《むすめども》にもネ、阿母《おつかさん》は兎《と》ても参つて居《を》られないから、お前方《まへがた》は阿母の代りまで勤めねばなりませんと申すので御座いますよ、ほんとに皆様《みなさん》の御体が御羨《おうらやま》しう御座いますことネ、ですから、貴女《あなた》、婦人会の方などもネ、会長なんて大した名前を頂戴《ちやうだい》して居りましても何の御役にも立ちませず、一切皆様に願つて居る様な始末でして
前へ
次へ
全296ページ中46ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
木下 尚江 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング