しやるでせう、私の嬉《うれ》しく思ふのは、天では神様、そして地では、剛さん、貴郎《あなた》ばかりです――」
彼女《かれ》は忽《たちま》ち眼を閉ぢて俯《うつむ》けり「――左様《さう》ぢや無い、私は慥《たしか》に身も心も献げた尊《たふと》き丈夫《かた》が在《あ》るのです、けれど篠田さん――貴方は少しも私の心、此の涙に浸《ひた》せる我心を少しも知つては下さいません――其れを御怨《おうら》み申しは致しません、けれど何と云ふ情ない世の中でせう、此の純潔な私の恋が――左様《さう》です、純潔です、必ず一点の汚涜《をどく》もありません――貴方の為めに禍《わざはひ》の種となるのです、――篠田さん、我が夫《つま》、何卒|御赦《おゆる》し下ださいまし、貴方の博大の御心には泣いて居るのです、私は既《も》う決心致しました、私は父から全く離れました、家庭からも全く離れました、教会からも離れました、私は天の神様をのみ父とし母として、地に散在する憐《あは》れなる兄弟と、大きな家庭を作ることに覚悟致しました、そして此世を神様の教会と致します、――篠田さん、貴郎《あなた》は私の此の決心を、叱つて下ださいませんでせうねエ
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