》探偵にまで成り下つたんだから、随分|惨酷《ざんこく》なことも平気で行《や》つて来たんですが、――篠田には実に驚いたのです、社会党なんぞ、どうせ陰険な乱暴なものだと思つて這入《はひ》り込んだのだが、秘密と云ふものが殆《ほとん》ど無いのです――以前始めて社会民主党を組織するツてた時も、左様《さう》でしたよ、タシか土橋だと思ふが、彼《あ》の渡部と云ふ男の所へ出掛けて行くと、先方が却《かへつ》て歓迎して起草しかけて居た宣言書を見せて、一々講釈をされたので、社会主義ツてものは、実に可《い》いものだと感服し切つて来たが、僕も本当に左様《さう》思ひますよ、川地さん、貴官《あなた》は篠田を悪党だの何のと言ひなさるけれど、試《こゝろみ》に一度|逢《あ》つて御覧なさい、屹度《きつと》従来の誤解を慚愧《ざんき》なさるに相違ありませんよ――僕は斯《か》う云ふ好人物を毀《きずつ》けねばならぬかと思ふと、如何にも自分ながら情なくなつて、寧《いつ》そ自分の探偵と云ふことを白状して、本当の子分にして貰《もらは》うかと思つたことが、幾度《いくたび》とも知れませんよ、近来は最早《もう》怖くて堪《たま》らぬから、逢はぬや
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