は、同盟罷工に反対して、静粛なる手段を執《と》ることを熱心に勧告したのです、其の往復の書信など僕は能《よ》く知つて居ますが、けれど勢ひ已《や》むを得ないと云ふことになつたもんですから、然《しか》らば坑夫等を無惨《むざん》の失敗に終らしめてはならぬと云ふので、最も困難な兵糧方に廻つたのです、だから彼が教唆《けうさ》したと云ふのは、少こし真実に遠い様でもありますが、彼が無かつたら坑夫の同盟も、今度の労働者団結も成立つことでありませんから、彼が教唆《けうさ》したと報告したのも、結果から言へば全然虚報とは言はれぬ様にもなる次第のです」例の快弁に似もやらず、吾妻は汗を拭《ぬぐ》ひつ、弁疏《べんそ》せり、
「吾妻、全《まる》で貴様は政府を欺《あざむ》いて、我等を欺いて、機密費を盗んで居たのだ」
「けれど」と、吾妻は少しく椅子《いす》を後に退《の》け「其《そり》ヤ課長、無理ですよ、初め僕が同胞社に這入《はひ》り込んだ頃、僕は報告したぢやありませんか、外で考へると、内で見るとは全く事情が違つて、篠田と云ふ男、実に敬服すべき君子だと申上げたでせう、スルと貴官《あなた》は大変に立腹して、其様《そんな》筈《
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