、やうやく捜《さが》し出しましたよ」
 言ひつゝ彼は裏《うち》なるポケットより一個の紙包を取り出して、主人に渡せり「今《も》一日後れりや、屑屋《くづや》の手に渡る所なんで――大切な原稿を間違へて、反古《ほご》の中へ入れちやつたてなことで、屑籠《くづかご》を打《ぶ》ちあけさせて、一々《いち/\》択《え》り分けて、本当に酷《ひど》い目に逢《あ》ひましたよ」
 主人は黙つて其の紙包を開けり、中より出でしは皺《しわ》クチヤになれる新聞の原稿なり、彼は膝頭《ひざかしら》にて稍々《やゝ》之を押し延ばしつ、口の裡《うち》にて五六行読みもて行けり、
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……彼の主戦論者の声言する所を聞くに日露両国の衝突は、自由と擅制《せんせい》との衝突にして、又た文明と野蛮との衝突……と云ふ、吾輩|謂《おも》へらく決して然らず、是《こ》れ只《た》だ両個|擅制《せんせい》帝国の衝突のみ、両個野蛮政府の衝突のみ……………………財産の特権、貴族の遊食、………………総《あら》ゆる罪悪一に皇帝の名を仮りて弁疎……
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 川地は目を揚げて吾妻を見つ「慥《たしか》に篠田の自筆か」
「左様
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