と一椀、茶を傾けつ「何《ど》うも美人てものは厄介極まる、僕は大嫌《おほきら》ひだ、」
老母もお花も転がつて笑ひつ、
「それは、吃度《きつと》、其のお嬢様も左様《さう》で在《いら》つしやいませうよ」と、老母はやがて口を開《き》きて「先生様のやうに、口数がお少《す》くなくて、お情深くて、何から何まで物が解つて在《いら》しつて、其れでドツしりとして居なさるんですもの、其《そり》ヤ、女の身になれば誰でもねエ」
「まア、厭《いや》な阿母《おつかさん》」
「否《い》エ、本当ですよ」
お花はランプの光|眩《まぶ》し気《げ》に面《かほ》を背向《そむ》けつ「けれど、其のお嬢様など、お幸福《しあはせ》ですわねエ、其様《さう》した立派な方なら、仮令《たとひ》浮き名が立たうが、一寸《ちつと》も男の耻辱《はぢ》にもなりや仕ませんもの――」
大和は眼を円《まる》くして、襟《えり》に頤《あご》埋めて俯《うつむ》けるお花の容子《ようす》を、マジ/\と見つめぬ、
此夜お花は眠らぎりき、
二十六
「今日は又た曇つて来た、何卒《どうぞ》降雪《ふら》ねば可いが」と、空|眺《なが》めながら伯母は篠田を見送
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