手に頭|抱《かゝ》へつ「やツ」と言ひつゝお花を見やる、
「何《どう》しなすツたの」と、お花も、松島と云ふ一語に顔|赫《あか》らめぬ、
「なアに、花ちやんの為にも矢張り敵なんだよ、彼《あ》の松島大佐がネ」と大和は茶受《ちやうけ》ムシヤ/\と噛《か》み込みつ「彼《あれ》が余程以前から、梅子さんを貰はうとしたんだ、梅子さんの実父《おやぢ》も、継母《まゝはゝ》の兄と云ふのも、皆《みん》な有名な御用商人なんだから、賄賂《わいろ》の代りに早速承諾したんだ、所が我が梅子嬢は何《どう》しても承知しないんだ、到頭《たうとう》梅子さんを誘《いざな》ひ出して、腕力で侮辱を与へようとしたもんだから、梅子さんも非常に怒つて、松島を片眼《めつかち》にしたんださうな、其れを宅《うち》の先生が何か関係でもあつて、左様《さう》させたやうに言ひ触らして、先生の事業を妨害する奴があるんだ、或は梅子さんが先生を恋して居なさるかも知れんサ、大分世間で其の評判だから、けれど先生は御存知無いんだ、恋愛は其|対手《あひて》が承諾を与へた場合に始めて成立する、所謂《いはゆる》双務契約なんだからなア」と、恋愛法理論を講釈したる彼は、グツ
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