六《むつ》ヶ|敷《しい》文句ばかり書いてあるので、能《よ》くは解りませぬでしたが、何でも兼さんに、小米《こよね》さんを殺すなんて悪心が有つたのでは無いと云ふやうに思へましたよ、矢つ張裁判官でも人ですから、少しは同情《おもひやり》があると見えますわねヱ、だから阿母《おつかさん》、余り心配なさらぬが可《よう》御座んすよ」
「難有《ありがた》うよ」と老母は瞼《まぶた》拭《ぬぐ》ひつ「此程《このほど》も伜のことを引受けて下だすつた、弁護士の方が来《いら》しつたんでネ、先生様の御友達の方で、――御両人《おふたり》で種々《いろ/\》御相談なすつて在《いら》しつたがネ、君是れ程筋が立つて居るのに、若《も》し兼吉を無罪にすることが出来ないならば、弁護士を廃《や》めて仕舞へと、先生様が仰《おつ》しやるぢやないか、すると其方《そのかた》もネ、可《よろ》しい約束しようと仰《おつ》しやるんだよ、花ちやん、私、嬉しくて/\……」
「本当にねエ、阿母《おつかさん》」と、お花はブル/\と身を震《ふる》はしつ「何と云ふ御親切な方でせう、――私、考へる毎《たび》に――」と、面《かほ》忽《たちま》ちサと紅《あか》らめ「彼
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