で頭《かしら》を垂れぬ「――何か只《たゞ》ならぬ心配があると見える――此の私を急に恋しくなつたと云ふのは――彼《あ》の剛情な男が――」
二十四の五
「長二や、大層|早起《はやい》の、何時起きたのか、ちつとも知らなかつたよ」と言ひつゝ伯母は内より障子開く、
縁端《えんはた》には篠田が悠然《いうぜん》と腰打ち掛けて、朝日の光《ひかり》輝く峯の白雲|眺《なが》めつゝあり、「そりや、伯母さん、私の方が早く寝ましたからネ――が、伯母さん、どうも実に閑静ですねエ、全く別天地です、此の節々が延々《のび/\》しますよ」
「だから、江戸の様なせゝこましい所で、無駄な苦労せずに、早く先祖代々の故郷へお帰りと云ふのだ――頼朝様《よりともさま》よりも前から住んで居るので、何殿《どなた》に頭を下げにやならぬと云ふ様な心配もなしさ」
「然《し》かし、伯母さん」と篠田は笑みつ「猿や狐の友達も可《い》いが、人間は矢張り人間の相手が無ければ、寂《さび》しくて堪《たま》りませんよ、私は又た伯母さんが、能《よ》く斯《かう》して孤独《ひとり》で居なさると不思議に思ふですよ、何《どう》です、一つ江戸住《えどずま
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