今度は少し裕然《ゆつくり》泊つて行けるだらうの――」
 篠田は頭掻きつゝ、口ごもりぬ「――先日も手紙で申上げたやうな次第《わけ》で、当時差し懸《かゝ》つた用事がありますので、殆《ほとん》ど足を抜くことが出来ないのですが――何だか無闇《むやみ》に貴女が恋しくなつたもんですから、今日《こんにち》不意に出掛けて参つたやうな始末でしてネ――」
 伯母は怪訝《けげん》な目して良久《しばし》篠田を見つめしが「――又た明日ゆつくり話しませう、疲れたらうに早くお寝《やす》み、例《いつも》の所にお前の床がある、――気候が寒いで、風邪《かぜ》でも引かれると大変だ」
「貴女《あなた》こそ早くお寝みなさい」と篠田は笑ひぬ、
「何の、私《わし》は寝たよりも醒《さ》めてる方が楽《たのしみ》だ――此の綿を紡《つむい》で仕舞《しま》はんぢや寝ないのが、私の規定《きめ》だ、是れもお前の袷《あはせ》を織る積《つもり》なので――さア、早くお寝《やす》み」
「左様《さう》ですか」と篠田は暗涙を呑《のん》で身を起しつ「誠に、恐縮に御座ります」と襖《ふすま》開きて、慣れたる奥の一室《ひとま》に入《い》れり、
 伯母は膝に手を組ん
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