すらん、森々《しん/\》として死せるが如き無人の深夜、彼はヒシと胸を抱きて雪に倒れつ、熱涙|混々《こん/\》、誰|憚《はばか》らず声を放つて泣きたりしが、忽《たちま》ちガパと跳《は》ね起きつ、足を踏みしめ、手を振つて、天地も動けと、呼ばはりぬ、

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翠《みどり》の帳《とばり》、きらめく星  白妙《しらたへ》の牀《ゆか》、かがやく雪  宏《おほい》なる哉《かな》、美くしの自然  誰《た》が為め神は、備へましけむ、

峯の嵐は、眠りたり  谷の流は、夢のうち  隈《くま》なき月の冬の影  厳かにこそ、静なれ、

眼《まなこ》閉づれば速く近く、何処《いづこ》なるらん琴《こと》の音聴こゆ  頭《かしら》揚ぐれば氷の上に  冷えたる躯《からだ》、一ツ坐せり  両手《もろて》振《ふる》つて歌|唄《うた》へば  山彦《こだま》の末見ゆ、高きみそら、

感謝の声の天《あま》のぼり  琴の調《しらべ》に入らん時  歌にこもれる人の子が  地上の罪の響きなば  弾《ひ》く手とどめて天津乙女《あまつをとめ》  耻かしの 色や浮ぶらめ、

父の正義のしもとにぞ  涜《けが》れし心ひれ伏さ
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