かと、ほんとに驚いて仕舞ひますの」とお加女は目を細くして強ひて笑ひつ、
「お客来《きやくらい》の所へ参《あが》りまして、伯母さん、飛んだお邪魔致しましてネ」と梅子の気兼ねするに「ほんとにねエ」とお加女も相和す、
「何の、貴女《あなた》」と、お熊は刺しつ「日常《しよつちゆう》来《いら》つしやるお客様でネ、家内同様の方なんですから、気兼も何もありやしませんよ、山木の御家内なら、寧《いつ》そ同席《いつしよ》に御馳走にならうつて仰《おつ》しやるんですよ、梅子さん、磊落《きさく》な方ですから、何卒御遠慮なくネ」
 カラ/\と打ち笑ふ男の声聞えて、主人の利八と物語りつゝ、階子《はしご》上り来《きた》るは、今しもお熊の噂《うはさ》せる其人なるべし、
 襖《ふすま》手荒らに開かれて現はれたる一丈天、其の衣《きぬ》の身に合はず見ゆるは、大洞《おほほら》のをや仮り着せるならん、既に稍々《やゝ》酒気を帯びたる面《かほ》を燈火《ともしび》に照らしつ、立ちたるまゝに「ヤア、山木の内君――新年先づ御目出たう」
「まア、何殿《どなた》かと思ひましたら、貴所《あなたさま》ですか――姉さん、酷《ひど》いことねエ、知らし
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