んてい》の三人連、
「イヨウ、素敵な別嬪《べつぴん》が立つてるぢやねエか――池《いけ》の端《はた》なら、弁天様の御散歩かと拝まれる所なんだ」
「束髪《そくはつ》で、眼鏡で、大分西洋がつたハイカラ式の弁天様だ、海老茶袴《えびちやばかま》を穿《は》いてねい所が有難い」
「見ねイ、弁天様の御側に三途川原《さんづがはら》の婆さんも御座るぜ」
「何《いづ》れ一度は御厄介《ごやつかい》になりますが聞いて呆《あ》きれらア、ハヽヽヽヽ」「ハヽヽヽヽヽヽ」
 お加女は顔を顰《しか》めつ「車夫は何処へ行つて仕舞《しかしま》ツたらう」
 日は既に森蔭に落ちたる博物舘前を、大きなる書籍の包《つゝみ》、小脇に抱へて此方《こなた》に来れるは、まがうべくもあらぬ篠田長二なり、図書舘よりの帰途にやあらん、
 梅子は遙《はるか》に其れと見るより、サと面《おもて》を赧《あか》らめつ、
 折柄竹の台の方《かた》より額の汗|拭《ぬぐ》ひも敢《あ》へず、飛ぶが如くに走せ来れる二人の車夫を、お加女はガミ/\と頭から罵《のゝし》りつ、ヤヲら車に乗り移りしが、宛《あたか》も其前に来れる篠田は、梅子と相見て慇懃《いんぎん》に黙礼し、又
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