りながら「梅子、あれを御覧なさい、まアほんとに可愛らしい、雛人形《ひなにんぎやう》の様だよ――私も早くお前さんの彼《あゝ》した容子《ようす》を見たいと、其ればつかりが、親の楽《たのしみ》だアね、大きな娘を何時《いつ》までも一人で置いては、世間体も悪るし、第一草葉の蔭のお前の実母《おつか》さんに対して、私が顔向けなりませんよ――まア御覧なネ、あの手を引き合つて、嬉《うれ》しさうに笑つて、――男でも女でも彼《あれ》が一生の極楽世界と云ふもんですよ――羨ましいとは思ひませんかネ」
 ジロリと、お加女は横目に見やれり、
 梅子は他方を眺《なが》めつゝあり、
「あゝ、恐ろしいお嬢様だこと――」、お加女は目に角立てて独言《ひとりごと》しぬ、
 二人は無言のまゝ長き舗石《しきいし》を、大鳥居の方に出で来れり、去れど其処には二輌の腕車《くるま》を置き棄てたるまゝ、何処《いづく》行きけん、車夫の影だも見えず、
「何《どう》したつてんだねエ――日がモウ入りかけてるのに、仕様《しやう》があつたもんぢやない、チヨツ」と、お加女は打ち腹立てて、的《まと》もなく当り散らしつゝあり、
 通りかゝれる職人体《しよくに
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