んて、平気で在《いら》つしやるんですよ――梅子さん、私は嫉妬心《しつとしん》が強いと云ふのでせうか」
「嫉妬心――」と梅子も覚えず、顔|紅《あか》らめつ「如何《いか》なる人でも境遇に打《う》ち克《か》つと云ふことは余程困難ですから、私は日本の様な不道徳な社会に在《あ》る婦人は、とても男子《をとこ》から報酬を望むことは断念せねばならぬと思ひますの、受くるよりも与ふるが寧《むし》ろ幸福ぢやありませんか、貴女が全心を挙げて常に道時さんを愛して居なさるならば必ず慚愧《ざんき》して、昔日《むかし》に優《まさ》る熱き愛憎を貴女に与へなさる時が来るに違《ちがひ》ありません」
「アヽ、梅子さん、其れが真理なんでせうねエ――」
「銀子さん、ほんとに貴女《あなた》こそ幸福ねエ――何故ツて?――貴女は愛を成就《じやうじゆ》なされたぢやありませんか、現今《いま》の貴女は只だ小波瀾の中に居なさるばかりです、銀子さん何卒《どうぞ》、私を可哀さうだと思つて下ださい、――私の全心が愛の焔《ほのほ》で燃え尽きませうとも、其《それ》を知らせる便宜《たより》さへ無いぢやありませんか、此のまゝ焦《こ》がれて死にましても、アヽ
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