実《おちつく》に連れて、次第に私を軽蔑《けいべつ》する様になるんですよ――折々はネ、私の為めに余儀なく此様《こんな》結婚をして一生不幸を見たなんて、残酷《ひどい》ことさへ言ふんですよ、――言はれて見れば私にも弱点があるから、言ひたいこともジツと耐《こら》へて居ますけれども、余り身勝手過ぎるぢやありませんかネ――それにネ、着物だの、何だのも、此頃《ちかごろ》は斯様《かう》云ふのが流行だなんて自分で注文するんですよ、何処《どこ》の流行《はやり》かと思へば、貴嬢、皆な新橋辺《しんばしあたり》のぢやありませんか――婦人《をんな》は矢張《やつぱ》り日本風の温柔《おとなし》いのが可《い》いなんて申してネ、自分が以前|盛《さかん》に西洋風を唱《とな》へたことなど忘れて仕舞つて私にまで斯様《こんな》丸髷《まるまげ》など結《ゆ》はせるんですもの、私耻づかしくて、口惜《くちお》しくて堪りませんの――」
銀子は落る涙|拭《ぬぐ》ひつゝ「それに梅子さん他《ほか》の方の妻君《おくさん》など不思議だと思ひますよ、男子の不品行は日本の習慣だし、特《こと》に外交官などは其れが職務上の便宜《べんぎ》にもなるんだからな
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