無情の世の中とは打《うつ》て変《かはつ》て、慥《たしか》に希望のある楽しき我が身と生れ替つたのです、――そして日曜日が誠に待ち遠くて、教会が一層|懐《な》つかしくて――彼人《あのかた》の影が見えると只《たゞ》嬉しく、如何《どう》かして御来会《おいで》なさらぬ時には、非常な寂寞《せきばく》を感じましてネ、私始めは何のこととも気が着《つか》なかつたのですが、或夜、何でも五月雨《さみだれ》の寂《さび》しい夜でしたがネ、余り徒然《つれづれ》の儘《まゝ》、誰やらの詩集を見てる時|不図《ふと》、アヽ私《わたし》ヤ恋してるんぢや無いか知らんと、始めて自分で覚《さと》りましたの、――」
 涙に満てる梅子の眼は熱情に輝きつ、ありし心の経過一時に燃え出でて恍然《くわうぜん》として夢路を辿《たど》るものの如し、
 銀子も我《わ》が曾《かつ》ての実験と思ひ較《くら》べて、そぞろに同情の涙|堪《た》へ難く「梅子さん貴嬢《あなた》の御心中は私|能《よ》く知ることが出来ますの」
「けれど銀子さん」と、梅子はうな垂《だ》れつ、「其の心の裡《うち》の喜びも束《つか》の間《ま》で、苦痛《くるしみ》の矢は忽《たちまち》ち私
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