らうか、愛情と云ふものを宿《や》どさない一種の精神病のではあるまいかと――けれど私は只だ亡き母を懐《おも》ひ、慕ひ想像する以外に、如何《いか》にしても私の心を転ずることが成らなかつたのです――皆様能く男子の集会などへ行《い》らつしやいましたわねエ――あら、銀子さん、貴女のこと言ふのぢやなくてよ――けれど私の楽《たのしみ》は日曜に、青山の母の墓に参詣して、其れから永阪の教会へ行つて、母の弾《ひ》いた洋琴《オルガン》の前に座《す》わることの外は無かつたのです、私の文章も歌も何時も母のことばかりなんですから、貴嬢の思想は余り単調だと、先生にお叱《こごと》を受《うけ》ましたの――其れから学校を卒業する、貴女は菅原様《すがはらさん》へ嫁《いら》つしやる、他の人々《かたがた》も其《そ》れ其《ぞ》れ方向をお定《さだめ》になるのを見て、私も何が自分に適当した職分であらうかと考へたのです――貴女に御相談したことがあつたでせう――貴女も賛成して下だすつたもんですから、私は貧民の児女《こども》を教育して見たいと思ひましてネ――亡母《はゝ》の日記などの中にも同じ教育を行《や》るならば、貧乏人の児女《じぢよ》を
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