であると敬服して居るんですよ――けれど梅子さん、私|何程《どれほど》一人で心を痛めたか知《しれ》ないワ――貴嬢の阿父《おとつさん》は篠田さんを敵の如く憎んで居らつしやるんですとねエ――まア、何《ど》うしたら可《い》いんでせう――梅子さん」
「銀子さん、皆様《みなさん》は私の独身主義を全然《まるで》砂原の心かの様に思つて下ださいますけれど、――凡《すべ》ては神様が御承知です」梅子はハンケチもて眼を掩《おほ》ひつ「銀子さん貴女とお別れして三年の心の歴史を、私の為めに聞いて下ださいますか」
十七の四
「梅子さん、何卒《どうぞ》聴かして頂戴」
梅子は暫《し》ばし心に談話の次序《じじよ》整へつ、「学校時代の私は、銀子さん、貴女|能《よ》く御存《ごぞんじ》下ださいますわねエ――彼《あ》の一時バイロン流行の頃など、貴女を始め皆様《みなさん》が切《しき》りに恋をお語りなさいましたが、何《どう》したわけか私には、其の興味を感ずることが出来ませんでしたの、貴女に疑はれたことなども私|能《よ》く記憶して居りますよ――私も折々自分で自分を怪しんだこともありますの、私の心が不健全であるのでは無か
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