きやう》帝国主義と、社会主義との衝突ぢや、松島、確乎《しつかり》せんとならんぞ」と侯爵は得意満面に松島を見やりつ「然《し》かし松島、才色兼備の花嫁を周旋する以上は、チト品行を慎《つゝし》まんぢや困まるぞ、此頃は切《しき》りと新春野屋の花吉に熱中しをると云ふぢやないか」
浜子は侯爵の顔さしのぞき「御前《ごぜん》、其の花吉と申す芸妓《げいしや》は先頃廃業したさうで御座んすよ」
侯爵は打ち驚き「オ、廃業しをつた――新開に在つたと、浜子、其方《そち》は能《よ》う新聞を見ちよるな、感心ぢや――松島、其の根引き主《ぬし》は貴公ぢや無いか、白状せい」
松島の苦《に》がり切つたる容子《ようす》に、山木は気の毒顔に口を開きつ「――実は、閣下、其れも矢張篠田の奸策で御座りまする」
「ナニ、花吉を篠田が落籍《ひか》せをつたと――フム、自由廃業、社会党の行《や》りさうなことぢや――彼女《あれ》には我輩も多少の関係がある、不埒《ふらち》な奴、松島、篠田ちふ奴は我輩に取つても敵ぢや、可也《よし》、此上は山木の嬢《むすめ》は何事があるとも、必ず松島へ嫁《や》らねば、我輩の名誉に係《かゝ》はるわい」
意気|軒
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