がだい》のニコライなどへ出入《ではひり》するとか申すので、警視庁でも、露西亜の探偵ではあるまいかなど、内々注意して居られるとか聞きまして御座りまする」
 侯爵は切《しき》りに首肯《うなづ》きつ「左様《さう》ぢやらう、松島、別段疑惑する点も無いでほ無いか――何《ど》うぢや、我輩が図《はか》らず斯《か》かる話を聞くと云ふも何かの因縁《いんねん》ぢやらうから、一つ改めて我輩が媒酌人《ばいしやくにん》にならう、山木、貴公の娘にも必ず異存あるまいナ」

     十六の四

 山木剛造は平身低頭「御念《ごねん》には及びませぬ、閣下、是迄《これまで》の所、何を申すも我儘育《わがまゝそだ》ちの処女《きむすめ》で御座りまする為めに、自然決心もなり兼ねましたる点も御座りましたが、旧冬、私《わたくし》出発の前夜も能《よ》く利害を申聞け心中既に理会致して居りまする、兎に角私帰宅の上、挨拶致す様にと猶予を与へ置きましたる様の始末、帰京次第今晩にも判然致す筈で御座りまして――特に閣下が表面御媒酌下ださると申聞けましたならば、一身の名誉、一家の光栄、如何ばかり喜びませうか」
「ハヽヽヽ松島と篠田、こりや必竟《ひつ
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