御前《ごぜん》、奥様に御睨《おにら》まれ申すのが怖《こは》くてなりませんの」
「ハヽヽヽヽ何に奥が怖いことあるものか、あれは梅干|婆《ばゝあ》と云ふのぢやから、最早《もう》嫉《や》くの何《ど》うのと云ふ年ぢや無いわい、安心しちよるが可《よ》い、――其れよりも世の中に野暮《やぼ》なは、其方《そち》の伯父ぢや、昔時《むかし》は壮士ぢやらうが、浪人ぢやらうが、今は兎《と》に角《かく》芸人の片端《かたはし》ぢや、此頃の乱暴は何《ど》うぢや、姪《めひ》を売つて権門に諂《へつら》ふと世間に言はれては、新俳優の名誉に関《かゝ》はるから、其方《そち》を取り戻すなどと、イヤ、飛んだ活劇をし居つたわイ、第一|其方《そち》の心中《こころ》を察しない不粋《ぶすゐ》な仕打ぢや、ナ、浜子」
「あの時は、御前、何《ど》うなることかと私《わたし》、ほんとに怖《こは》う御座いましたよ、けども御前、伯父も本心から彼様《あんな》こと致したのでは御座いませぬでせうと思ひますの、御前の御贔負《ごひいき》に甘えまして一寸《ちよつと》狂言を仕組んで見たので御座いますよ」
「ウム、其方《そち》の方が余程物が解わちよる、――アヽ、僅《
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