の集会《あつまり》開かる、
永阪教会には、過般《くわはん》篠田長二除名の騒擾《さうぜう》ありし以来、信徒の心を離れ離れとなりて、日常《つね》の例会《あつまり》もはかばかしからず、信徒の希望《のぞみ》なる基督降誕祭《クリスマス》さへ極《きは》めて寂蓼《せきれう》なりし程なれば、除夜の集会《あつまり》に人足《ひとあし》稀《まれ》なるも道理《ことわり》なりけり、
時刻《とき》には尚《な》ほ間《ひま》あり、詣《まう》で来し人も多くは牧師館に赴きて、広き会堂電燈|徒《いたづ》らに寂しき光を放つのみなるに、不思議や妙《た》へなる洋琴《オルガン》の調《しらべ》、美しき讃歌の声、固く鎖《とざ》せる玻璃窓《はりまど》をかすかに洩《も》れて、暗夜の寒風に慄《ふる》へて急ぐ憂き世の人の足をさへ、暫《し》ばし停《とど》めしむ、
洋琴の前に座したるは山木梅子、傍《かたへ》に聴き惚《ほ》れたるは渡辺の老女、
「今度は老女《おば》さんのお好きな歌を弾きませう」と、梅子が譜本繰り返へすを、老女はジツと見やりて思はず酸鼻《はなすゝ》りぬ、
「何《ど》うかなさいまして、老女《おば》さん」
老女は袖口に窃《そ》と瞼
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