貧乏や着物の汚穢のを気にしてはなりませんよ、汚穢《きたない》心を持つて、奇麗な衣服《きもの》を着て居る人があるなら、其人こそ真正《ほんたう》に耻づかしい人です」
 お花は孰《いづ》れも木綿の揃《そろひ》の中に、己《おの》れ独《ひと》り忌《いま》はしき紀念《かたみ》の絹物|纏《まと》ふを省みて、身を縮めて俯《うつむ》けり、
 篠田は語り継《つづ》く「人間の尤《もつと》も耻づかしいのは、虚言《うそ》を吐くことです、喧嘩《けんくわ》することです、懶《な》まけることです」
 忽《たちま》ち座敷の一隅に声あり「お虎さんは、今日俺に鉛筆呉れるなんて虚言《うそ》を言つたぜ」
「ウソ、熊吉さんが私《わたし》に石を打《ぶ》つつけたもの」とて早くもメソ/\と泣く、
 彼方《あなた》の一隅には「松公ン所《とこ》の父《ちやん》は朝から酒飲んでブウ/\ばかり、育つてるぢやねエか」
「何だ手前《てめえ》の母《おつかあ》は毎晩四の橋へ密売《ひつぱり》に出るくせしやがつて……」
 お花の目には涙ありき、

     十四の二

 少年少女は何《いづ》れも基督降誕祭《クリスマス》の贈物貰ひたれば、歓喜の声振り立てて帰り
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