行けり、
「アヽ、実に今年は愉快なクリスマスを致しました」と篠田は喜色、面《おもて》に溢《あふ》る、
「それに先生、お花さんとやらに、老女《おばあ》さんに、お二人まで在《い》らつしやるので、何程《どんなに》お賑《にぎや》かとも知れませんよ、殿方ばかりのお家《うち》は、何処《どこ》となくお寂《さび》しくて、お気の毒で御座いましてネ」渡辺の老女はホヽ笑みつゝ「大和さん、貴郎《あなた》もマア、お勝手の方を御役御免におなりなさいましたのねエ」
「なあに、老女《おば》さん、花さんは夜が明けると大久保の慈愛館へお行でになるんだから、明日から、僕が又《ま》た復職するんです」と大和は笑ふ、
お花は俯《うつむ》きて何やら気の進まぬ体《てい》、
「何だか私《わたし》も花ちやんにお別れするが厭《いや》でなりませんの」とい兼吉の老母もつぶやく、
「老女《おば》さん」と篠田は渡辺の老女を顧みつ「花さんは大切《だいじ》な体です、将来《こののち》に大きな事業《しごと》をなさらねばならぬ役目を負《お》んで居られますので、又た花さんの性質に極《ご》く適当した役目であると思ひますので、矢島の老女史《らうせんせい》や、島
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