は劣っているかもしれぬ、だから世界の広いことは個人を安心させないことになる、類がないと思っていても、それ以上な価値の備わったものが他にあることにもなるのであろうなどと思って、いっそう好奇心が惹《ひ》かれた。
「ここ数月の間はなんとなく家の中がざわついていまして、あなたの琴の音を長く聞くこともありませんでしたよ。西にいる人は琵琶《びわ》の稽古《けいこ》を熱心にしていますよ。上達する自信があるのでしょうか。琵琶はまずく弾《ひ》かれると我慢のならないものです。できますればよく教えてやってください。この老人はどの芸といって特に深く稽古をしたものといってはないのですが、昔の黄金時代に行なわれた音楽の遊びに参加しただけの功徳で、すべての音楽を通じて耳だけはよく発達しているのです。たくさんはお聞かせになりませんが、時々お聞きするあなたの琵琶の音にはよく昔のその時代を思い出させるものがありますよ。現在では六条院からお譲りになった芸で、左大臣だけが名手として残しておいでになりますが、薫《かおる》中納言、匂宮の若いお二人はすべての点で昔の盛りの御代《みよ》の人に劣らないと思われる天才的な人たちで、熱心にお
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