をお思いした。あれだけの方がなされることでもないのであるがと思われてくるにしたがって、今まで不可解であったことに合点のゆく気もした。そんな欠点がおありになるために、世間でたいした方のようにいう割合に院の御愛情が薄いという理由が発見されたのである。貴女らしいお慎みが足らず、無邪気であることは可憐《かれん》なものだが、その人の良人《おっと》になっては安心のできないことであろうと軽侮する念も起こった。衛門督は道義も何も思わぬ盲目的な情熱に燃えていた。思いも寄らぬ物の間からほのかながらも確かにその方を見ることができたのも、自分の長い間の恋の祈りが神仏に受け入れられた結果であろうと、こんな解釈をしながらも、ただそれが瞬間のことであったのを残念がった。
 院は座中の人に昔の話をいろいろあそばして、
「太政大臣は私の相手で勝負をよく争われたものだが、蹴鞠《けまり》の技術だけはとうてい自分が敵することのできぬ巧さがおありになった。親のすべてが子に現われてくるものではなかろうが、やはり芸の道だけは不思議によく伝わるものだね。あなたの今日のできばえはたいしたものだった」
 と衛門督へお言いになると、微笑を
前へ 次へ
全131ページ中124ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
紫式部 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング