源氏物語
若菜(上)
紫式部
與謝野晶子訳

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)天《あめ》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)御|年齢《とし》よりも

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)皇※[#「鹿/章」、第3水準1−94−75]など
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[#地から3字上げ]たちまちに知らぬ花さくおぼつかな天《あめ》
[#地から3字上げ]よりこしをうたがはねども (晶子)

 あの六条院の行幸《みゆき》のあった直後から朱雀《すざく》院の帝《みかど》は御病気になっておいでになった。平生から御病身な方ではあったが、今度の病におなりになってからは非常に心細く前途を思召《おぼしめ》すのであった。
「私はもうずっと以前から信仰生活にはいりたかったのだが、太后がおいでになる間は自身の感情のおもむくままなことができないで今日に及んだのだが、これも仏の御催促なのか、もう余命のいくばくもないことばかりが思われてならない」
 などと仰せになって、御出家をあそばされる場合
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