》と不惜身命《ふじゃくしんみょう》の大勇猛《だいゆうみょう》には無礙《むげ》無所畏《むしょい》、切屑《きりくず》払う熱き息、吹き掛け吹込《ふっこ》む一念の誠を注ぐ眼の光り、凄《すさ》まじきまで凝り詰むれば、爰《ここ》に仮相《けそう》の花衣《はなごろも》、幻翳《げんえい》空華《くうげ》解脱《げだつ》して深入《じんにゅう》無際《むさい》成就《じょうじゅ》一切《いっさい》、荘厳《しょうごん》端麗あり難き実相|美妙《みみょう》の風流仏《ふうりゅうぶつ》仰ぎて珠運はよろ/\と幾足うしろへ後退《あとずさ》り、ドッカと坐《ざ》して飛散りし花を捻《ひね》りつ微笑《びしょう》せるを、寸善尺魔《すんぜんしゃくま》の三界《さんがい》は猶如《ゆうにょ》火宅《かたく》や。珠運さま珠運さまと呼声《よびごえ》戸口にせわし。
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第十 如是本末究竟等《にょぜほんまつくきょうとう》
上 迷迷迷《めいめいめい》、迷《まよい》は唯識所変《ゆいしきしょへん》ゆえ凡《ぼん》
下碑《げじょ》が是非|御来臨《おいで》なされというに盗まれべき者なき破屋《あばらや》の気楽さ、其儘《そのまま》亀屋
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