り、円※[#「※」は「つちへん+壽」、第3水準1−15−67、167−10]形|若《もしく》は方※[#「※」は「つちへん+壽」、第3水準1−15−67、167−10]形のものは其《そ》を水底に触れつ離れつせしむる折に臨み、水底にて立ちては仆れ立ちては仆るゝまゝ要無き響きの手に伝はりて悪《あし》し、球形のは水底に触るゝ時たゞ一たび其響き手に至るのみなれば、いと明らかにして好しと聞きぬ、如何にも道理《ことわり》あることにはあらずや、鉛錐は我が買ひ来しものこそ好けれと云ふ。よつて弟が購《か》ひ来りしものを視るに、銀色にして上光《うはびかり》無く、球形にして少しく肌|麁《あら》し。弟の言ふも一トわたり聞えたれど、光りの事は水の中に入りて陽《ひなた》のところ陰のところに二種のものの如何に見ゆべきやを検めでは何とも云ひ難し、又※[#「※」は「つちへん+壽」、第3水準1−15−67、167−10]形球形の説も道理には聞ゆれど、此頃の鼠頭魚釣りには鉛錐を水底に触れさせ離れさすやうなることを為さでもあるべく、たゞ及ぶたけ遠きところに鉛錐を投げ込みて漸く手元に引き近づくるのみなれば、響きの紛れの有る無しの
前へ
次へ
全25ページ中12ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
幸田 露伴 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング