鼠頭魚釣り
幸田露伴

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)一ト風異《かは》りて

|:ルビの付いていない漢字とルビの付く漢字の境の記号
(例)其|効《かひ》も

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、底本のページと行数)
(例)弱※[#「※」は「二の字点」、第3水準1−2−22、162−2]しくして、

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)川にてはほと/\獲らるゝ
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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 鼠頭魚は即ちきすなり。其頭の形いとよく鼠のあたまに肖たるを以て、支那にて鼠頭魚とは称ふるならん。俗に鱚の字を以てきすと訓ず。鱚の字は字典などにも見えず、其拠るところを知らず。蓋し鮎鰯鰰等の字と同じく我が邦人の製にかゝるものにて、喜の字にきすのきの音あるに縁りて以て創め作りしなるべし。
 鼠頭魚に二種あり。青鼠頭魚といひ、白鼠頭魚といふ。青鼠頭魚は白鼠頭魚より形大にして、其色蒼みを帯び、其性もやゝ強きが如し。青鼠頭魚は川に産し、春の末海底の沙地に子を産む、と大槻氏の言海には見えたれど、
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